鹿をいただきます

鹿がとれたらしい。

最近、知り合った猟師のおじさんから、

連絡が入りました。

 

猟師を目指す我が家の長男が、

鹿をさばく時に呼んでほしい、と

約束していたのです。

 

動物の解体か。

ちゃんと見られるだろうか。

 

不安を抱きつつ、

おじさんの作業場に駆けつけると、

鹿がデーンと横たわっていました。

 

すでに内臓は取り出されています。

目はパッチリと開いているけど、

瞳は少しだけ曇っている状態。

 

でも、先ほどまで生きていた証拠に、

内臓から湯気が出ています。

 

「じゃ、やるか」

さっそく、解体が始まりました。

 

刃先が音も立てずに、

スーッと肉を切り分けていきます。

山の静寂の中で、沢の音だけが

妙に響き渡っています。

 

言い方は難しいのですが、

なぜか、うっとりと見入ってしまい、

不安は杞憂に終わりました。

 

気がつけば、あっという間に、

いつもいただく食べ物の姿。

動物と食肉って、

こうやって繋がっているんだなあ、

と不思議な感覚です。

 


猟師は刺身で食べるほどの上等な肉を、

我が家ではジャーキーにします。

 

ウィスキーベースの特製ダレに、

数日間つけ込んで、天日干し。

食べる直前に軽く火で炙って、

マヨネーズをたっぷりつける。

 

本気でビールが止まりません。

 

というわけで、

鹿の姿から、ジャーキーになるまで、

すべてを見届けました。

 

ありがたく、いただきます。